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【ペットのがん治療】超音波を使ったがん治療「高強度収束超音波治療」とは?

【症例2】

犬、ゴールデン・レトリーバー、未去勢雄、9歳(図5)。左後肢の跛行を主訴に本学附属動物医療センターを紹介来院されました。病理診断により、非上皮性悪性腫瘍と診断されましたが、由来の特定には至らず、骨肉腫である可能性が強く示唆されました。通常、四肢に発生した骨腫瘍の治療としては、断脚術が第一選択とされます。しかし飼い主が断脚術を希望されなかったため、代替療法として凍結治療を行いました。治療後、跛行は一時的に改善しましたが、約1ヶ月後跛行が再発し、さらに痛みが悪化して非ステロイド剤ではコントロールできず、ステロイド剤の投与をしていました。図6は治療前の患肢X線像です。

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図5.症例2。

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図6.治療前の患肢X線像。黄色破線部が病変。

症例1と同様の薬剤を併用したHIFU治療を行いました。治療翌日より跛行の軽減がみられました。治療2週間後のCT検査では、腫瘍全体として大きさに変化はありませんでしたが、HIFU照射部位は、MRI画像において低信号を示し、腫瘍組織の変性が示唆されました(図7)。治療後4ヶ月が経過し、患部は漸次腫大は見られました。しかし痛みは非ステロイド剤でコントロールできる程度に収まっている状態でした。

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図7.造影MRI検査像。黄色破線部の造影強度が減弱している。

今回の薬剤を併用したHIFU治療は、従来のHIFU治療に比べて超音波の出力は50分の1と極めて低出力で、治療時間も短時間で実施しました。症例1では腫瘍増大抑制、症例2では一般状態の維持が確認できました。また、懸念していた皮膚の火傷も生じることはありませんでした。今後は、超音波出力と照射時間を適切な強度まで高めることにより、より効果的な抗腫瘍効果を期待ができるものと思われます。

本治療は臨床治験のため、治療前後の検査費以外の費用は大学負担で行います。興味のある方は下記のHPにお問い合わせください。

鳥取大学農学部附属動物医療センター:http://vth-tottori-u.jp/

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文/岡本芳晴(おかもとよしはる)

昭和34年兵庫県生まれ。昭和58年北海道大学獣医学部獣医学科卒業。昭和62年北海道大学大学院獣医学研究科予防治療学専攻博士後期課程中途退学(博士号学位取得)。昭和62年より鳥取大学助手農学部。平成15年教授に就任。

◆専門:獣医外科学(小動物外科専門医)
◆主な研究テーマ:がんに対する先端的治療(がん免疫療法、光線温熱化学療法等)の開発、内視鏡下手術の獣医臨床応用、等
◆所属学会:日本獣医学会(評議員)他
◆趣味:詩吟、家庭菜園、海草採取、バイク、ワイン、読書

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