【ペットのがん治療】がんの化学療法について ペットのがん健康岡本芳晴病気 Dr.岡本のペットのがん治療最前線 -がんの治療(2)- 今回はがん治療2回目で化学療法を解説します。《前回の記事を見る》 化学(薬物)療法 主に、抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法です。抗がん剤の投与方法は、点滴や注射、内服です。血液を通して全身をめぐるため、ごく小さな転移にも効果があります。 一方、脱毛、吐き気、倦怠感、しびれ感など、副作用の症状や、肝臓や腎臓、造血器官などへの障害が避けられず、ヒトの場合つらい治療になりがちなのが難点です。化学療法の特徴を表1に示しました。また表2に抗がん剤の副作用を示しました。 表1.化学療法の特徴 表2.化学療法の副作用 しかし、吐き気などの副作用をやわらげたり抑えたり、白血球数の減少を抑える薬の開発などによって、日常生活に支障がない程度に、症状を軽くできるようになってきています。また最近は、がん細胞だけに作用する分子標的治療薬の開発が進み、実用化されているものが増えています。 医学領域では、乳がんや子宮がん、前立腺がん、甲状腺がんなど、ホルモンが密接に関わっているがんに対しては、「ホルモン療法(内分泌療法)」がよく行なわれます。特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで、がん細胞の活動を抑えてがんを小さくしたり、転移や再発を抑えたりします。副作用は比較的少なめですが、長期間治療を続ける必要があります。 獣医領域においても化学療法は3大治療の一つとして、広く普及しています。特にリンパ腫などの血液由来のがんに対しては第一選択として使用されます。一方、乳がんなどのホルモンが密接に関連しているがんに対しては、獣医領域ではホルモン療法はほとんど行われません。ホルモンが関連しているがんについては、またくわしく解説します。分子標的薬に関しては、わずかながら使用されています。 動物においてもヒトと同様に化学療法の副作用はあります。しかし、動物はもの言わないため、その薬物がどの程度動物に対して影響を及ぼしているのかわからない場合が多いです。そのため白血球数や血小板数を基準にして、化学療法の中止あるいは延期を決める場合が多いです。将来的に動物の感情がわかるようになれば、より早期に化学療法の副作用も察知できるようになるかもしれません。 表3に現在獣医領域で使用されている主な抗がん剤を記載しました。ヒトと比べて、抗がん剤の種類は少ないのが現状です。 表3.獣医領域で使用されている抗がん剤 文/岡本芳晴(おかもとよしはる) 昭和34年兵庫県生まれ。昭和58年北海道大学獣医学部獣医学科卒業。昭和62年北海道大学大学院獣医学研究科予防治療学専攻博士後期課程中途退学(博士号学位取得)。昭和62年より鳥取大学助手農学部。平成15年教授に就任。 ◆専門:獣医外科学(小動物外科専門医) ◆主な研究テーマ:がんに対する先端的治療(がん免疫療法、光線温熱化学療法等)の開発、内視鏡下手術の獣医臨床応用、等 ◆所属学会:日本獣医学会(評議員)他 ◆趣味:詩吟、家庭菜園、海草採取、バイク、ワイン、読書 \ この記事をみんなにシェアしよう! / この記事をみんなにシェアしよう! 【紫しえのわんちゃんからの贈り物】年末のニクの日と初詣。 (1.23) 【紫しえのわんちゃんからの贈り物】芸術の秋、お家時間で得た宝物 (11.2) 救世主ゲバラくんの誕生日に思うこと。 (7.9) 犬が落ち着きはじめるのは何歳ぐらいから? (7.4) 注目のグッズ 犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」 ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』 ボディケア用品からお菓子まで!猫好きな彼女や妻に喜ばれるホワイトデーギフト4選 【猫クイズ】短足・小型・巻き毛が特徴の「ラムキン」ってどんな猫種? 愛犬がまさかの“犬嫌い”…その原因はどこにあるのか? ぼくたちは猫を育てているのではない。猫に育てられているのだ。 \ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! / PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! Facebook にいいね!する Twitter をフォローする Instagram をフォローする Pinterest をフォローする