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【ペットのがん治療】ウイルスを用いた最先端のがん治療

Dr.岡本のペットのがん治療最前線

-最先端がん治療(4)-

今回は最先端がん治療としてウイルスを用いたがん治療を紹介します。《前回の記事を見る》

【ウイルスを用いたがん治療とは】

不活化センダイウイルス粒子(HVJ-E)は、センダイウイルスを紫外線照射等によって不活化させた粒子です。大阪大学医学部の金田教授らは、HVJ-E自身にがん細胞を壊死させる効果があること、さらには免疫賦活作用を介した間接的な抗がん作用効果を有することを見出しました(図1)。


図1.不活化センダイウイルス粒子(HVJ-E)の作用機序

現在、大阪大学医学部附属病院で、ヒトの悪性黒色腫や前立腺癌に対する臨床試験が行われています。鳥取大学農学部附属動物医療センターでは、1年前より金田教授らよりHVJ-Eの提供を受け、動物に対してこの治療法の臨床試験を開始しています。今回、軟部組織肉腫の2症例に対してHVJ-Eによるがん治療をおこないましたので紹介します。

【症例1】

犬、パピヨン、避妊雌、13歳、3.2kg(図2)。他院にて会陰部のがん摘出術を受けましたが、再発し、本学動物医療センターを紹介来院しました。手術を検討しましたが、坐骨の一部や外肛門括約筋の切除を伴い、手術侵襲が高いと判断し、HVJ-E による治療を飼い主に提案し、実施することになりました。


図2.症例1

HVJ-Eの投与プロトコルは、週に3回、1クール2週間とし、計2クール行いました。HVJ-E(750μL)を1mlにメスアップしたものを、会陰部腫瘍内に0.2-0.3mlずつ数箇所投与しました(図3)。


図3.投与スケジュール

図4はHVJ-E投与による会陰部腫瘤の体積変化のグラフです。投与開始から第1クール終了までで腫瘤の体積はおよそ1/2まで縮小しました。休薬期間後に第2クールを開始しましたが、このときは腫瘤の縮小は認められず、炎症による浮腫が認められました。これ以上の縮小は認められない事、また腫瘤縮小により手術侵襲が初診時比べて低くなったことから、会陰部腫瘤の摘出を実施しました。


図4.腫瘤の体積変化

病理組織学的検査の結果、血管周皮腫と診断されました(図5)。2クール治療後に摘出した組織像で破線の下部が壊死組織を示しており、腫瘍組織の70-80%が壊死しているのが観察されました(図6)。


図5.治療前の組織像


図6. 治療後の組織像

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