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【ペットのがん治療】がんの3大治療とは?

外科手術

外科手術は、治癒的療法(根治的療法=根本から治す治療法)として古い時代から行われ発展してきました。現在では術式(手術の技術や方式)が精細をきわめるようになり、麻酔学の進歩とあいまって外科療法はいまや頂点に達しているといっても過言ではありません。

がんの病巣を切除し、その臓器の周辺組織やリンパ節に転移があれば、一緒に切り取ります。早期のがんや、ある程度進行しているがんでも、切除可能な状態であれば、手術療法が積極的に行われます。

すなわち、がんの塊が一気に取れることと、検査ではわからないごく小さな転移(微小転移)がなければ完治の可能性が高いことがメリットです。外科療法は固形がんの集学的治療(違う治療法を組み合わせて行う治療)の中核を成しています。

しかし、その反面、外科手術を施すことでがん細胞が急速に増殖したり、転移する例もあります。がん組織を切除することによって生体機能が損なわれたり、術後障害などQOL(生活の質)の面ではどうしてもマイナスになる可能性がつきまといます。

また、このがん治療法は手術に耐えられる体力も必要となりますので、高齢者や長い治療生活で体力が低下してしまった場合だと、手術を受けること自体が難しくなります。
表3に外科手術適応と不適応を記載しました。

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表3.外科手術適応と不適応

こうしたデメリットを小さくするために、医学領域では切除する範囲をできるだけ最小限にとどめる方法(縮小手術)や、内視鏡(小型カメラ)を使った腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術など、体への負担(侵襲)を少なくする手術の普及が進んでいます。

いっぽう、獣医領域におけるがん治療としての外科手術は、拡大手術が主流です。拡大手術とは、患部をできるだけ大きくとることです。例えば、乳腺腫瘍においては、片側の乳腺を全て切除することがあります(図2)。肢端に悪性腫瘍が発生した場合、脚を切除(断脚)することが推奨されます。

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図2.片側乳腺切除術

獣医領域でも最近は腹腔鏡手術が普及してきましたが、その対象は不妊手術、膀胱結石摘出術、胆嚢摘出術等と医学領域に比べるとかなり限定されたものです。がん治療に対しての腹腔鏡手術はまだほとんど報告がない状況です。しかし、上記に記載しましたように医学は生体に負担をかけない方向に進んでします。

これまでの獣医学の歴史をみますと、医学より10~15年遅れて同様の概念が普及してきます。現在の獣医学では、まだ体への負担(侵襲)を少なくする手術をするという概念が浸透していないのが現状です。

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文/岡本芳晴(おかもとよしはる)

昭和34年兵庫県生まれ。昭和58年北海道大学獣医学部獣医学科卒業。昭和62年北海道大学大学院獣医学研究科予防治療学専攻博士後期課程中途退学(博士号学位取得)。昭和62年より鳥取大学助手農学部。平成15年教授に就任。

◆専門:獣医外科学(小動物外科専門医)
◆主な研究テーマ:がんに対する先端的治療(がん免疫療法、光線温熱化学療法等)の開発、内視鏡下手術の獣医臨床応用、等
◆所属学会:日本獣医学会(評議員)他
◆趣味:詩吟、家庭菜園、海草採取、バイク、ワイン、読書

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