予防することができない!?猫の腎臓病について 林文明病気腎臓病 予防することができない!?猫の腎臓病について みなさんは腎臓についてどのくらい知っていますか? ・体の中には左右あわせて2つある ・ソラマメのような形で腰のあたりにある ・血液から老廃物をろ過し、おしっことして排出する場所 ・人間だと腎臓が悪くなると透析に通わなければならなくなる などが良く知られたことだと思います。実はこのほかにも腎臓には次のような働きがあるのです。 ・尿の中の水分を再吸収し、おしっこを濃縮させる ・塩分と水分の排出量をコントロールすることによって血圧を調整する ・赤血球をつくるためのホルモンを分泌する などなど。 このような働きがあるので、腎臓の機能が低下してくると出てくる症状は、 ・老廃物が体内を巡ってしまい、食欲低下、元気低下、嘔吐、体重減少になる ・水分の再吸収ができなくなり、尿量が増える ・脱水がすすむため、口の中がかわいて飲水量がふえる ・血圧のコントロールができなくなり高血圧になる ・赤血球がつくられなくなり、貧血になる 腎臓はとても小さい臓器なのに重要な働きをたくさんしているのです。なぜ、猫は他の動物にくらべて腎臓病になりやすいのか知っていますか? まず、猫は他の動物に比べて体重にあたる腎臓の体積比が大きいわりには、猫の腎臓がもっている総ネフロンが少ないことがあげられます。ちなみに、ネフロンとは、腎臓の中で血液をろ過、濃縮しおしっこの元をつくる部分のことです。腎臓の機能や構造の単位とされているものです。 このネフロン数は、牛で400万個、人で100万個、犬で41.5万個あるのに対し、猫ではたった19万個しかありません。したがって、猫は他の動物に比べてもともと必要なものと排泄するものを分ける能力が圧倒的に少ないことになるのです。 また、猫はこのネフロンの構造も他の動物と違うといわれていることによって、腎臓の働きが落ちやすく、腎疾患になりやすいといわれています。では、腎臓病の早期発見方法はあるのでしょうか? まず、お家で初期症状に気づくことが大切です。腎臓病の初期症状に『よく水を飲む』『よくおしっこをする』というものがあります。この症状は他の病気でも当てはまるものがありますので、この症状に気づいたら、まずは動物病院で診察を受けましょう。身体検査、尿検査、血液検査は最低限必要です。 腎臓病の予防は可能でしょうか?残念ながら腎臓病を予防することはできません。 人ではタンパクを制限するとか、塩分をひかえるとかありますが、猫ではそれが腎臓病の予防として有効だという証拠はまだないのです。現在のたった一つの解決法は、早期発見・早期治療になります。やはり、動物病院で定期健診をうけて血液検査をすることが大切です。また、腎障害の初期には血液検査だけでは異常を検出できません。いっしょに尿検査も受けることをおすすめします。 初期の段階でみつかれば病気の進行を抑えるような対策ができます。 慢性腎臓病はどの年齢の猫でも発症すると考えらていますが、7〜8歳くらいから特に増加し、その発症率は10歳で5%、15歳で15%であると報告されています。 しかし、なかなか猫の症状として現れることがないので、飼い主さんが気づいたときには腎臓の機能の75%が失われていることもあります。最近は、腎臓機能の40%が障害された時点でわかる新しい検査もあります。早期発見のためにはまずは定期的な健診をおすすめします。理想は半年に1回の検査になります。 文/林 文明(はやしふみあき) 1988年北里大学獣医学修士課程修了。1998年コロラド州立大附属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ぶ。現在は、山梨・東京・ベトナムで5つの動物病院を経営。獣医師、日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。 日本動物医療コンシェルジュ協会 http://www.jamca.gr.jp/ ノア動物病院 http://www.noah-vet.co.jp/ 配信サイト:「ペットゥモロー」 ペットとの生活をより楽しく、充実させるためのノウハウや情報をお届けするペット総合情報メディアです。 \ この記事をみんなにシェアしよう! / この記事をみんなにシェアしよう! 猫と行くキャンピングカーの旅!アンザ・ボレゴ砂漠州立公園 (1.27) 猫が死んでもう10年。その間、私は何をしてきたのか。 (1.24) キャンプで超役立つ「猫グッズ」を紹介! (1.19) 猫とキャンピングカーで旅はできるのか? (12.16) 注目のグッズ 犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」 ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』 お待たせ。「俺、つしま」グッズ大特集! ヘビロテ確定。「俺、つしま」のTシャツが登場! 「パソコン作業をやめて俺と遊びな!」ワガママワンコはやっぱり可愛い。 獣医診断市場、2022年には36.2億米ドルに到達 爪とぎは、猫にとって“精神安定剤”だった 猫たちの喧嘩が始まった!と思ったけど… \ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! / PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! Facebook にいいね!する Twitter をフォローする Instagram をフォローする Pinterest をフォローする