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貴族的オーラを常に発散。海苔子という女・復活

この物語は、ここ30年でノラ出身のネコを12匹保護し、一緒に生活し、ついに全員を看取った中年男の喜怒哀楽に満ちた日常の回顧録である。

第四十二回 海苔子という女・復活

海苔子は、他のネコに対して、あまり興味も示さないネコでもあった。

自分もネコなのに、他のネコを見る目は、

「なんだネコか…」

という、なにか上から目線のような気位の高さを感じさせるところがあった。

「ワタシは上流階級、他のネコは一般庶民」

そんなムードを常に醸しだしていた。


↑他のネコがくっついて寝ていても、どこか距離を置いて寝る海苔子。
分かりやすくいえばデビィ夫人のような、一般庶民とかけ離れた貴族的オーラを常に発散させてい
た。

とはいっても雑種のネコなんですけどね。

雑種なのに(まぁウチのネコはみんな雑種だ!)、そんな風に一人勝手に「自分は上流階級」と思
い込んでいる(ように見える)ところが、またなんともカワイイところでもあった。

そんなデビィ夫人チックで、子供の時から美人だった海苔子も、当然ながら年をとってくる。

15才を過ぎるあたりから、灰色というよりも銀色に輝く自慢の(多分、自分としては自慢だったん
じゃないか? と思わせる雰囲気を発散させているのが海苔子なのだ)毛並みも、徐々に衰えてきた。

17才くらいになると体力も落ちてきた。歯も抜けてきた。

それでも18才で亡くなるまで、歩く時はその長い尻尾を常にピンと立てて歩いていた。

これは“自称貴族”の矜持だった気がする。

“自称貴族”といっても、ネコだから自称してないですよ。でも自称してるようなオーラがあったん
ですよ。逆にいうと、そのピンと尻尾を立てていたのも、自称貴族を思わせるオーラのひとつだった
のだ。

そんな海苔子が死んで5日後のことである。

出かけていたオレが家かに帰ると、女房がスッ飛んできてまくし立てた。

「今日、海苔ちゃんが出た!」

よくよく話を聞いてみると、いつも通りネコたちに食事をあげようと缶詰を開けていたら、スッと
海苔子が現れたというのである。

あまりにも普通にスッと現れたというのである。その現れ方があまりにも普通すぎるので、女房もつい、「あ、海苔子、死んだと思ってたけど生きてたじゃん」

と普通にそう思ってしまったという。そう普通に思って開けていた缶詰に目を移した瞬間に、

「そんなはずない! 海苔子は五日前に死んだ」

と思い返し、海苔子がいた場所を見ると、もうそこに海苔子はいなかったらしい。

「海苔子はああ見えて、律儀なところがあったじゃない?」

そう女房は言葉を続けた。前に書いたけど、まだ室内飼育にする前は、食事へのお礼なのか、スズメの頭部を持ってきたこともあった。

「だから、今までのお礼というか、最後の挨拶にきたんじゃないかと思う」

女房は真剣に顔である。でも他のネコと見間違えたんじゃないの?

「絶対にそれはない!」

オレは霊とかオバケとかは信じないんだけど、海苔子に関していえば、その自己主張の激しい性格からしても、この話は事実なような気がしてしょうがない。海苔子ならそれをやっても不思議じゃない気がなにかするのだ。

「海苔子、死ぬ前は毛とかが、若い時に比べてツヤとかもなくなってきてたじゃない? それが若い
時みたいにツヤツヤだった」

それもなんだか海苔子らしい話だなぁ〜。

だとしても、オレの前にではなく女房の前にだけ出てきたのは悔しいんだけど。


↑まだ毛質もキレイな頃の海苔子。こんな監視の海苔子が一瞬現れたらしい。

そしてつい数カ月前。女房がチョコエッグとかいうお菓子を3つも買ってきた。卵型のチョコの中
にオマケが入っているお菓子である。

「安売りしてたんで買ってきたんだけど、オマケがディズニーで、その中に海苔子がいるから、もし
かしたら一個くらい入ってるかも!」

箱を見ると、ダンボだミッキーマウスだに混じって『おしゃれキャット』のマリーがいた。我が家では、このマリーがどこか海苔子に似ているので、マリーがテレビに出ると、「オッ、海苔子が出てる!」

なんて話したりしていたのだ。ちなみにこの女房か買ってきたチョコエッグは輸入品のチョコエッグで日本で普通に販売してるヤツとは違うヤツみたいだった。それはともかく…。

「でもダンボだミッキーだの10種類くらいあるうちの一つでしょ、海苔子。海苔子が出る確率は10パ
ーセントだからなァ〜。一個も入ってないんじゃないの?」

なんていいなから開けてみると、3つのうち、2つが海苔子だった!

考えてみれば、そのチョコを女房が買ってきたのは、我が家最後のネコ“ビッタ”が死んで一カ月くらいの頃。海苔子が自分から、

「家にネコがいなくなっても、海苔ちゃんもいるニャ〜!!」と、お得意の自己顕示欲で女房に当たりを買わせたような気がしてならない。

今、その海苔子のオマケ(マリーだけど)は、オレと女房のキーホルダーについております。

追記・オマケの写真も載せたいんでずか、ディズニーは版権に厳しいので控えております。

『海苔子という女・完! 次回、新章へ突入

文/カーツさとう

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カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。

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