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“犬の吠え声”騒音訴訟で声帯手術命令

犬に吠えるなと言うのは、人間に喋るなと言うのと同じことだと思う。どちらもコミュニケーションツールとしての声をもっており、それを取り上げるというのは酷である。

しかし、犬の吠え声であっても、人の喋り声であっても、度を過ぎれば騒音になるし、気になる人にとってはやはり騒音となってしまう。かく言う筆者は犬の声は平気なのだが、人の喋り声が苦手で、まずテレビも見ない。

それはさておき、愛犬の“吠え”に関しては、皆さんも日々しつけや近隣への気配り、場合によっては騒音対策など努力をしていることだろう。

昨今ではシニア犬が増え、認知症の症状の一つである“夜泣き”対策に苦労している人もいれば、防音効果のある犬舎も販売されているなど、犬と暮らす以上、“吠え”の問題は無視することはできない。中には、犬の吠え声が原因で、訴訟にまで発展してしまうケースもあるのはとても残念なことである。

訴訟と言えば、アメリカのオレゴン州で起こった犬の吠え声による騒音訴訟が議論を呼んでいるようだ。農場を営むある夫婦が飼う犬たちの吠え声を、20年前から我慢してきたという隣人が、10年経ってとうとう我慢しきれずに訴訟を起こし、結果的に裁判所は犬の声帯手術をするよう判決を下したというのだ(*1)。

飼い主は農場の羊たちをクマやクーガーから守るために犬が必要(吠え声も)だと主張したらしいが、隣人曰く、犬が数時間も吠え続け、それを紛らわすためにテレビの音量を大きくしなければならなかったし、子どもたちが学校に通うにも怖がっていたと。

犬はチベタン・マスティフとピレニアン・マスティフという話で、太く大きな声が数頭重なると隣人には耐えがたかったのだろうか。

オレゴン州では数年前に犬の声帯手術を禁止とする法案が提出されたことがあったが、立法にまでは至らなかったそうで、動物愛護系の団体はこの裁判の行方に神経をつかっている模様だ。

2015年には飼い主に対して23万8,000ドルの賠償金が命じられたということだが、それだけでは解決に至らず、闘争は長引いているようである。

そもそも、犬の吠え声はどのくらいの大きさなのか? 環境省動物愛護管理室の資料「危害や迷惑問題等の発生状況」を見ると、以下のようなデータとなっている。


(屋外、測定距離5m)

環境省資料「危害や迷惑問題等の発生状況」を参考に作成。()内は資料に明記されていないため、当てはまると思われるものを表記。調査対象の犬は犬種ごとに1~5頭であり、平均値になっているものもあれば、頭数の少ない犬種は測定事例値となっている。

このデータでは対象となった犬の頭数が少ないため、個体差もあると考えるともう少しばらつきはあるのかもしれないが、概ね、80~90dB前後ということになるのだろう。大型犬のほうが声は大きいと思いきや、この数値からはそうでもないということがわかる。

吠え声の感じ方は、声質が高いか低いでも違ってくるはずだ。また、音の出方としては、自動車のような音は断続的に同じような音が続くのに対して、犬の吠え声は「ワン!」というふうに瞬間的に大きくなることが多いことから、場合によってはそれが余計に吠え声を印象づけてしまうのかもしれない。

その他、真ん中に中庭があって、それを囲むように建っているマンションだとか、環境的に音が反響しやすい状況であると、音に対する感覚もこれまた違ってくるだろう。

それはともかく、愛犬の“吠え”で悩む場合には、しつけの問題とは別に、防音効果のあるカーテンやマット、ラグなどを使用する、愛犬の生活場所を再考する(窓から外を通る人に吠えるのであれば、外が見えないようにする、愛犬の居場所を窓から離すなど)というのも一つの方法だと思う。

一緒に暮らしていれば犬の匂いも気にならないものだが、吠え声にしても同じかもしれない。先のオレゴン州の話のように訴訟沙汰などになったなら悲しいこと。何より犬には悪気がないだけに、切なくなるばかりだ。万が一にもそんなことにならないよう、皆さんも吠え声に対する気配りはお忘れなきように。
参考資料:
(*1)Owners must surgically ‘debatk’ loud dogs, court rules / OREGONLIVE THE OREGONIAN
文/犬塚 凛

配信サイト:「ペットゥモロー」(小学館)
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