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放火探知犬、有害物質探知犬、追跡犬……犬の嗅覚はどこまで貢献する?

犬の嗅覚はどこまで貢献する?  アレルゲン探知や電子機器探知にも

犬の嗅覚が並はずれて優れていることは周知のとおりで、犬たちは古の時代から自分たちの生存のためはもちろん、その嗅覚の利点を人間にも提供してきた。

猟の獲物や人の匂いからはじまり、彼らが探知する匂いの対象は生物、植物、化学物質など多岐にわたり、ざっと見ただけでも以下のような仕事をしている(していた)犬たちがいる。

■猟犬/獲物となる鳥や獣
■追跡犬/行方不明者や逃亡者など
■警察犬/犯人、逃亡者、行方不明者など
■麻薬探知犬/違法薬物
■爆発物探知犬/爆弾、地雷など
■動植物検疫探知犬/検疫検査を必要とする肉製品や果物類など
■規制・違法物品探知犬/象牙、DVD、ハードドライブやSDカードのような電子記憶デバイスなど(対象物が違法かどうかではなく、そのもの自体を探知する)
■災害救助犬/災害時の被災者や行方不明者
■山岳・雪崩救助犬/山岳地での遭難者
■放火探知犬/火災現場での放火につながる可燃物
■病気・患者にとっての有害物探知犬/ガン、てんかん、低血糖、アレルゲンなど
■害虫・危険生物探知犬/シロアリ、毒蛇など
■食品類探知犬/トリュフ、害虫にやられた農作物など
■調査研究対象の生物やその痕跡の探知犬/オオカミ、トラ、ムース、フクロウ、サンショウウオ、貝、人骨など

なんとも広範囲にわたり、今更ながら犬の嗅覚の素晴らしさに感心してしまう。

人の病気を探知するものとしてはガン探知犬がもっとも知られているが、病気そのものを探知するのではなく、たとえば、重度のアレルギーをもつ人が、アレルゲンとなるものを摂取したり、接触したりしないよう、そのアレルゲンを探知する犬や、特定の病気をもつ患者にとっては有害となる食材を探知する犬もいる。

アメリカにはラテックスアレルギーをもつ飼い主のために、生活環境の中でラテックスに気づくとオスワリをし、その対象物をじっと見て、飼い主に注意を促すサービスドッグがいるそうだ。アンドロメダという名の黒のラブラドール・レトリーバーや、ナニというイエローのラブラドール・レトリーバーたちで、ミルクや卵、小麦、大豆など、そのアレルギー患者にとってのアレルゲンを探知する専門的なトレーニングを受けている(*1)。

また、同じくアメリカにて、セリアック病を患う少女のために、この病気では有害な症状を引き起こすグルテン*を探知するようトレーニングされたオーストラリアン・シェパード(ミニチュア)のゼウスという名の犬が活躍している。ゼウスはグルテンが含まれている食品を探知すると前足を上げて知らせ、首をひねった時には安全というサインになるのだそうだ。この少女は学校にもゼウスを連れて通っているという(*2)。
<*グルテン=小麦、ライムギ、オオムギなどの穀類に含まれるたんぱく質の総称>

これら2種の探知犬は、常に生活を共にすることで、365日飼い主の健康と安全を守っているわけだが、育成費用がそれなりにかかり、また犬の飼育費用もおのずとかかることから、同様の病気があり、かつこういった犬を望む人であっても、そう簡単には手に入れることはできないという話である。

そして、警察犬では、ハードドライブやSDカード、CD、電話など電子記憶デバイスに含まれる固有の化学物質を探知できる犬がいる。世界初の放火探知犬をトレーニングしたというメリカのコネチカット州警察では、数年前、新たに電子記憶デバイスを探知できるよう、セルマとソーローという2頭のラブラドール・レトリーバーでトレーニングを始め、現在ではその数も僅かながら増え、ハイテク系の犯罪捜査において実質的な成果もあげているという(*4)。

今年の1月には、アラスカ州のアンカレッジ警察署が同様の警察犬を導入するというニュースもあった。こちらの犬もオディーという名のラブラドール・レトリーバーである(*5)。

さらにユニークなものとしては、海洋哺乳類の調査研究のために、海面に浮かぶシャチの糞を見つける犬もいる。ワシントン大学の保全生物センターでは、これまでオオカミやトラ、ムース、西アメリカフクロウ、サンショウウオ、コオロギなどの糞を見つける犬を50頭以上トレーニングしてきたそうだが、そのすべてが保護犬であり、シャチの糞を見つける犬としては同じく保護犬のジャックという犬がトレーニングしているそうだ(*5)。

そういえば、国内では蚊や蛾など昆虫の嗅覚能力を応用した匂いセンサーの開発が注目されているが、一方では、犬の“匂い嗅ぎ”と吸引型の臭気探知器とを比較し、やはり犬の匂い嗅ぎは優れているという検証報告もあった(過去記事:犬の鼻と臭気探知器どっちが優秀? 犬の匂いの嗅ぎ方実験で見えた可能性http://petomorrow.jp/news_dog/30949)。

ハイテク技術が進化する中で、今後、人間は益々マシンに囲まれた生活をしていくようになるのかもしれないが、先の電子記憶デバイス探知犬のように、そのハイテク製品を犬がまた嗅ぎ分けるというのはなんともおもしろい。いくら科学や技術が発達しようと、生きたものには敵わない、筆者はそう信じている。

とは言っても、危険な仕事はマシンに代わってもらうのが一番といったところだ。
参考資料:
(*1)Latex-detecting dog is Bay Area woman’s weapon against dangerous allergy / The Mercury News
(*2)Gluten-sniffing dogs help people with celiac disease / TODAY
(*3)Electronic storage device tracking dog to help combat child pornography / 90.3 fm KNBA
(*4)Electronics-sniffing dogs : How K9s became a secret weapon for solving high-tech crimes / TechRepublic
(*5)Orca researchers need all the poop they can get. These dogs help them find it / THE NEWS TRIBUNE
文/犬塚 凛

配信サイト:「ペットゥモロー」(小学館)

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