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【青山尚暉のワンderful LIFE】マリアの十戒(10)

第十一章『マリアの十戒(10)』

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【青山尚暉のワンderful LIFE】

10.最期のその時まで一緒にいてほしい。

言わないでほしい。「もう見てはいられない」、「ここにいたくない」などと。あなたが隣にいてくれることが私を幸せにするのだから。忘れないでください、私はあなたを愛しています。

愛犬が最後を迎えるとき、どんな形が理想なんだろうか?マリアは今、元気に暮らしているから想像もつかない。考えたこともない。でも確実にその時はやってくる。犬は言葉をしゃべれない。

どこが痛いのか苦しいのか伝えられない。飼い主はどうしたらいいのか分からずただうろたえながら見ているだけ。それはとってもつらいことだと思う。ママはある犬友達の愛犬の死に偶然かかわることになった。

ナナ先輩と夕方の散歩をしていたとき、近所の公園でお友達のゴールデンレトリーバーに会った。その子を見て、ママは直感で具合が悪いと感じたそうだ。顔色が悪く、歯茎を見ると紫色でまったく血色がなく、貧血のようだった。

飼い主に聞くとここ一週間具合が悪く、数日前に病院で診てもらい、薬を飲んでいるのにまったく良くならないと言う。ママはすぐ病院に連れて行ったほうがいいと薦めた。けれど、その日は飼い主の家に車がなく、連れて行けない。

ママは自分の車を出し、その子と飼い主を自分の行きつけの病院に連れていったんだ。精密検査の結果、末期のがんで強度の貧血。緊急入院になった。ナナ先輩は輸血をしてあげたけれど、そのかいなく、2日後の朝、飼い主が自転車で病院に向かう途中、息を引き取った。

そのゴールデンレトリーバーの飼い主は夫婦、大学生のお兄ちゃん、高校生と小学高学年のお姉ちゃんの5人家族。だからいつもにぎやかな中で暮らしていたはずだ。

でも、母親は子供たちには愛犬の弱り切った姿を見せたくないと、病院に子供たちを連れて行くことを拒んでいた。その時、マリアのママは違和感を覚えたそうだ。

わが家なら、家族全員で駆けつけるのが当たり前と思っていたからね。でも、そのときは人それぞれ考え方がある・・・・ぐらいに思っていたらしい。

とはいえ、実際にナナ先輩が最期を迎えようとした朝は、普段は冷静なママも大きく取り乱したらしい。パパやお姉ちゃん、犬友達家族に支えられ瀕死(ひんし)の状態のナナ先輩を病院まで運び込んだそうだ。

ナナ先輩は10歳8カ月で亡くなってしまったけれど、大好きな家族や、親友だった犬の家族に見守られ、犬として幸せな最期だったと思う。


在りし日のナナ。とってもおとなしく、優しく、控えめな女の子でした。ここは最期の旅行となったホテルのドッグラン。このとき、およそ2カ月後にこの世を去るなんて、想像もできませんでした。

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