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【青山尚暉のワンderful LIFE】崩壊した繁殖場でのマリアの記憶(5)

第七章『崩壊した繁殖場でのマリアの記憶(5)』

鹿児島の記憶-その5

マリアの記憶は今日もよみがえります。

「所有権放棄後の8月6日、Mさんのブログには驚く内容が書かれていたの」

今までのことを振り返り、今後のことを冷静になって考えたい。今の気持ちのままでは前に進む自信がない・・・

「という内容だった。悲願の所有権放棄にやっとたどりついたのにMさんにいったい何が起きたのだろう。おそらくこの数日間に心が折れてしまうようなことが起きたみたい。後にママから聞いたことだけど、Mさんはこう言っていたんだ。『自分のことは何と言われてもいい、でも手伝ってくれる仲間に対してまで非人間的なことをいわれるのは耐えられなかった。自分を責め自分自身の存在を消してしまいたかった』と」

「でもMさんが気持ちを取り戻せたのは、支援してくれている、多くの人たちの暖かい声援だった。そして『十分な世話もできない自分たちを信じてくれて、会うたびに溢(あふ)れんばかりの笑顔を見せてくれる犬たちに救われたから』とも言っていた」


繁殖場の犬たちはこんなにも狭く暗く汚い劣悪な環境で暮らしていました。中型、小型犬は、畳一畳半程のスペースしかない段ボール箱が敷かれた物置きの中へ閉じ込められていたのです。写真はMさんたちが訪れ、重い扉を開けたところ。普段は扉が閉められ、日中でもまったく日があたらず、中は真夏のクルマの中のような暑さだったそうです。虐待以外のなにものでもありません。このころはMさんやSさんたちが来ることだけが、犬たちの生きる望み、楽しみだったのでしょう。だって、手前の柴MIXは笑顔を見せているじゃないですか。

「そのことがきっかけになったのか、事態は急展開していく。そう、次々と犬たちの一時預かり先が決まっていったの。全国に広がるボランティア団体が犬たちの一時預かり、健康状態や精神面のケア、里親募集までのすべてを引き受けてくれたのよ。世の中って不思議。非難する人もいれば救いの手を差し延べてくれる人もいる。きっとMさんの今までの活動や人柄を評価してくれたんだ。おかげでマリアたちは救われた」

「そうだ、ボランティアの人たちはレスキューされた犬たちを二度と不幸にしてはいけないという想いから、里親を希望する人の審査がとっても厳しかったらしい。家族構成、住宅環境、飼育場所、飼育経験などなど。ペットショップで犬を買うのとは大きく違うみたい。ママが里親を希望したときも、アンケートを書かされ、いろいろと質問されたんだって・・・・」

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