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アメリカの劇場文化からみる映画『SING/シング』の正しい楽しみ方

映画『SING/シング』の正しい楽しみ方

エンディング・テーマ曲で、スティーヴィー・ワンダー とアリアナ・グランデが夢の共演を果たし話題となった映画『SING/シング』。本作は、取り壊し寸前の大切な劇場を立て直すため、大スター発掘のための歌のオーディションを開催するという話だ。

だが、「歌のオーディション? 劇場って『ライオンキング』や『オペラ座の怪人』みたいなミュージカルをやる所では?」「そもそも劇場ってどんな所?」と疑問を抱いた方は意外と多いのではないだろうか。そこで、今回は日本人にはあまり馴染みのないアメリカの劇場文化と音楽について軽く解説していこう。

映画『SING/シング』に登場する劇場はアメリカが生んだ、最もアメリカ的な文化

劇場と聞き、まず思い浮かべるのはブロードウェイにあるミュージカル劇場だろう。ミュージカル誕生の経緯で切り離せないのが、貴族の娯楽「オペラ」を庶民でも楽しめるように、わかりやすくコメディ化した軽い歌劇といわれる「オペレッタ」。これがアメリカに渡り、20世紀初頭、ボードビル・ショー(寸劇、小話、踊り、曲芸を組み合わせたショー)やダンス主体のレヴューと合わさり、発展したのがミュージカルの原型だと言われている。

世界中から集まった移民を楽しませるため、各地の音楽やダンス、小話などが融合し発展したミュージカルは、人種のるつぼであるアメリカの文化そのものと言えるだろう。ちなみに、ブロードウェイで成功しなければハリウッドでも一人前とは認められないという風潮があり、オードリー・ヘップバーンやジュリア・ロバーツなどもブロードウェイの舞台に立っている。

今は歌手として有名になっているアリアナ・グランデも2008年、ブロードウェイ・ミュージカルである『13』でチアリーダーのシャーロット役で女優デビューしているのだ。

さて、ここまではミュージカルを中心とした劇場の話だったが、次はアメリカの音楽シーンに多大な影響を与え続けた伝説の劇場の話をしよう。

マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーを見出した”アポロ劇場”

ハーレム125丁目にあるアポロ劇場では1934年のオープンから、毎週水曜日にスターへの登竜門ともいわれる「アマチュアナイト」が開催されている。このイベントでは、ファンクの帝王ジェームズ・ブラウンや、キング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンが所属していたジャクソン5、そして本作のエンディングを歌っているスティーヴィー・ワンダーを排出した。近年では、日本人ダンサーのTAKAHIROもこの名門劇場で活躍したのは記憶に新しい。

そんな、劇場と縁の深いスティーヴィー・ワンダーとアリアナ・グランデが歌うエンディング曲「フェイス(原題:Faith)」では「I met you Hallelujah!(この出会いにハレルヤ!)」と歌っており、まさに世代を超えた名曲となっている。このように映画『SING/シング』で流れる音楽は、いい曲という理由の他に登場人物や場面の背景にマッチしている曲が多く登場し、さらなる感動を与えてくれるのだ。

映画『SING/シング』90秒の予告映像に詰め込まれた音楽へのこだわり

具体的にどうのようにマッチしているのか、この予告映像をもとに紐解いていこう。

まず、Lady Gagaの『Bad Romance』に合わせキレッキレのダンスを披露する金ピカの豚さんグンター。背景がどうのと高尚にのたまっておいてなんだが、このグンターに関しては理屈ではなく魂で感じ取って欲しい。プラトン曰く「踊りこそ魂にふれる芸術である」そうなので、この癖になりそうなグンターのダンスと歌声を余計なことを考えず堪能しよう。

次にバッファローのリチャードがCrazy Townの『Butterfly』を、3羽のうさぎがNicki Minajの『Anaconda』を歌うシーンが流れる。そして、始まるのはエミネムの『Sing For the Moment』のリミックスバージョンだ。

ギャング一家に生まれ、嫌々ながらも強盗家業に手を染めるゴリラのジョニーをはじめ、本作の登場人物の境遇は何かとドン底となっている。この曲を歌うエミネムも、父親に捨てられたり、家庭が崩壊していたりと、ドン底生活を送っていた過去を告白していることで有名だ。『Sing For the Moment』の歌詞もその過去の経験をもとに書かれている。

だが、この曲にはサンプリング元があり、それはロックバンド、エアロスミスの『Dream On』。後半部分はDream On、つまり夢を持ち続けろと繰り返し歌われている。プロのアーティストを夢見る街の動物たちは、はたしてドン底から這い上がり夢を叶えることができるのか、それは、是非劇場で確かめて欲しい。

取材・文/荒井慎一郎

映画『SING/シング』概要

《ストーリー》
動物だけが暮らすどこか人間世界と似た世界――取り壊し寸前の劇場支配人バスター(コアラ)は、かつての栄光を取り戻すため世界最高の歌のオーディションを開催することに。主要候補者は、極度のアガリ症のシャイなティーンエイジャーのミーナ(ゾウ)、ギャングファミリーを抜け出し歌手を夢見るジョニー(ゴリラ)、我が道を貫くパンクロックなティーンエイジャーのアッシュ(ヤマアラシ)、25匹の子ブタ達の育児に追われる主婦のロジータ(ブタ)、貪欲で高慢な自己チューのマイク(ハツカネズミ)、常にパーティー気分の陽気なグンター(ブタ)。人生を変えるチャンスを掴むため、彼らはオーディションに参加する!

《予告動画》

《スタッフ》
◆監督/脚本:ガース・ジェニンクス
◆製作:クリス・メレダンドリ/ジャネット・ヒーリー

《キャスト(声の出演)》
マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・C・ライリー、タロン・エガートン、トリー・ケリー、ニック・クロール、ジェニファー・ソーンダース、ピーター・セラフィノウィッツュ、レスリー・ジョーンズ、ジェイ・フェイロー、ニック・オファーマン、ベック・ベネット、他

◆映画『SING/シング』エンディング・ソング「フェイス(原題:Faith)」:スティーヴィー・ワンダー feat. アリアナ・グランデ
(発売元:ユニバーサル・ミュージック)

《「フェイス(原題:Faith)」MV》

◆配給:東宝東和
◆公式サイト:http://sing-movie.jp/
◆公式Facebook:www.facebook.com/sing.movie.jp/
◆公式Twitter:twitter.com/SingMovieJP

(C)Universal Studios.

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