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【青山尚暉のワンderful LIFE】『不思議な力』(1)

トライアル期間とはいえ、レモンがわが家にやって来たときは、家族みんなに特別な想いがありました。もう、かわいくてかわいくて仕方ありません。レモンといっしょに撮ったカミサンの笑顔にそれが現れています (トライアルとは、その犬が新しい家庭、家族になじむかどうか、判断するための期間。トライアル期間を経て、本当に里親になるか、ならないかを決めるのです)。

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レモンがやってきた日の夜。カミサンの嬉しそうな顔ったらありません。レモンはまだ不安な目をしていますが、それでも楽しそう。ガムをくわえています。

わが家にレモンがやってきた日は避妊手術の抜糸の予定でした。が、ボランティアのいきつけの病院がこんでいたため、こちらの近くの動物病院で抜糸をすることになりました。

その夜、カミサンと娘がレモンとリビングの床の上でジャレあっていたときのことです。レモンはまだ来たばかりだというのに、おなかを見せて甘えています (おなかを見せるということは、気を許している証拠です)。

しかし、あろうことか、カミサンは脇腹あたりに小さなしこりを発見してしまったのです。翌日、近所の動物病院に行き、抜糸と同時にしこりの検査をすることになりました。なんでもないように・・・と祈るような気持ちで。

動物病院から帰宅したカミサンに「しこりはどうだった?」と聞くと「大丈夫よ」との答えでした。

その日の夜遅く、台所にレモンを抱きながらわんわん泣いているカミサンの姿がありました。実は、動物病院で、「レモンのしこりは肥満細胞種癌。緊急手術が必要」と診断されていたのです。

カミサンはその現実を受け入れられずに、こんな時間までボクにそのことを黙っていたのです。ボクがその立場だったら、同じだったかも知れません。レモンはまだトライアル中です。東京のボランティアのOさんに連絡をしない訳にはいきません。夜分でしたが連絡すると、「手術はこちらでするので明日連れてきて」との指示でした。

レモンはわが家にくる前に避妊手術をしたばかり。ということは、レスキュー犬の面倒を見てくれている獣医が開腹しているわけですから、注意すれば見逃すはずはない。

でも、カミサンは獣医が気づかなかった腹部脇のしこりを発見してしまったのです。お腹を丁寧にさすってあげなければ分からない触診であり、ある意味、”不思議な力”、神の手の持ち主です(かなり大げさですが)。その晩、カミサンは朝までレモンのお腹をさすりながら、そばにずっといたことを覚えています。

レモンはまだ4歳。癌という大病を患うには早すぎるではありませんか。鹿児島での苦労がたたったのでしょうか。そういえば東京に来る時、動物病院から鹿児島空港にクルマで向かう途中、吐いていたと聞いていたし、わが家にきて獣医まで10分足らずの距離でも、苦しそうに吐いていました。「きっとこれまでクルマに乗ったことがなく、クルマ酔いしやすいんだよ」と勝手に解釈していたのですが・・・。

翌日、朝一番で、レスキュー犬の面倒を見てくれている獣医の元を訪れました。再診断の結果、やはり肥満細胞種癌に間違いなかったのです。レモンは入院。結果は数週間後。癌のグレードがⅠなら処置によって治る可能性がある、しかしグレードⅢ以上だと、かなり深刻である、という獣医の説明でした。

わが家に来てまだ2日目だというのに、レモンの肥満細胞種癌という検査結果に向き合うことは、とてもつらいことでした。

数週間後、レモンの正式な検査結果が出ました。残念ながら、肥満細胞種癌はグレードⅢ。治療をしても余命は限られる・・・その宣告はあまりにも残酷でした。そしてレモンは二度と、わが家に戻ってくることはありませんでした。

命が尽きたから・・・・・・ではありません。東京のボランティアの元に戻ったレモンは、その後、信じられない運命をたどることになるのです。

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文/青山尚暉(あおやま・なおき)

ジャーナリスト。1956年東京生まれ。雑誌編集者を経験した後、フリーのモーター&トラベルジャーナリストに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。愛犬家でもあり、ドッグライフプロデューサーとしても活動中。コンパニオンアニマルとしてのペットとのドライブ、ペットと泊まれる宿に関しても詳しく、Web、専門誌、一般誌などで「愛犬との快適安心な旅スタイル」を提言中。現在、ラブラドールレトリーバーのマリアと、ジャックラッセルのララと暮らしている。PETomorrowのほか、小学館ブックピープル、ONE BRAND、レスポンス、カートップなどでも愛犬とクルマ関連の記事を連載中。2016年4月には愛犬とのドライブ旅行の集大成となるムック本『愛犬と乗るクルマ』が発売されている。

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