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「アニマルセラピー活動の今」JAHA年次大会市民公開講座レポート(後編)

病院やホスピスでの動物介在活動についてのお話を。

辛い闘病生活の中、痛みや不安も軽減され、診療にも協力的に

日本の場合、医療機関に動物を入れるということに対しては抵抗を感じる意見も多い中、国内で初めて小児病棟での動物介在活動を取り入れたのは、聖路加国際病院であり、すでに14年近くの活動歴を誇る。

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「犬に会いたい、一緒に遊びたいという子供たちの望みを叶えてあげたかった」聖路加国際病院 松藤凡副院長/©Pmoon

子供たちの望みを叶えてあげたい

アニマルセラピーの歴史は思った以上に古い。当時ははっきりとした概念はまだなかったのかもしれないが、11世紀にはベルギーの病院で患者のケアに鳥を用いたのに始まり、19世紀後半には、かのナイチンゲールが精神病棟患者の不安軽減を目的に犬を用いていたという。また、1930年には精神科医であり、学者でもあるジークムント・フロイトが自閉症の子供とのコミュニケーションに犬を使用していたようだ。

聖路加国際病院で動物介在活動を導入するきっかけとなったのは、脳幹部に腫瘍があったある女の子の、「愛犬に会いたい」という一言だった。残念ながらこの子はその望みを果たせぬまま短い生涯を終えたそうだが、医療スタッフの中にはなぜ望みを叶えてやれなかったのかという思いが残った。その後、犬が大好きで一緒に遊びたいと願う悪性腫瘍を患った子がおり、病棟に犬を連れてきてなんとか遊ばせてやれないものかとスタッフ全員で考えたのが活動の始まりへとつながる。

そのために専門家であるJAHAの獣医師に相談、小児科部長や小児外科医長、病棟師長、看護師、保育士、感染管理担当看護師などを交えて話し合い、当時の院長に意見を求めると、「それはいいことだからどんどんやりなさい」というなんともあっけないほどに心強い言葉をいただき、それに後押しされる形で本格的に活動がスタートすることとなった。この話には会場から感嘆の声が上がる。

病院であり、対象が子供であると衛生面が気になる人もいるかもしれないが、「感染などの心配はそれぞれみんなで対応していけばいいので」という聖路加国際病院の副院長であり、小児総合医療センター長の松藤凡先生の言葉もこれまた心強く感じられる。

活動への留意点

こうして活動を始めることとなったわけだが、実際に活動をする際、子供たちは体調のこともあり、参加したいという意志があること、犬アレルギーがないこと、主治医の許可があること(小児ガンのケースが多く、免疫力の低下や、感染症の問題から他の子と接触できない子もいるため)、同意書を提出していることの4つが条件となる。

活動するボランティア側(動物)としては、各種感染症のワクチンが接種してあることはもちろん、年2回の健康診断、腸内細菌検査、口腔内細菌検査、そして行動学的検査および不妊・去勢手術を行い、活動の前日にはシャンプーや歯磨きなどの全身のケア、当日にも獣医師や動物看護師らによるチェックが行われる。

活動は月に2回、プレイルームや、ベッドから動けない子には個室で、また天気によっては病院の庭で行われ、最初は簡単に犬の接し方を説明した後、一緒に遊んだり、散歩をしたりするそうだ。子供たちに一番人気なのは、病棟内に限られるものの、自分でリードをもって犬と散歩をすることなのだとか。

犬と一緒なら、苦しさも和らぐ

成長期にある子供にとっては、病院から出られない、ベッドから動けないということはさぞかし辛いことだろう。そういう子供たちにとって、犬が病院にやって来るということは大きな楽しみであり、刺激であるに違いない。

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動物介在活動が子供たちに与えるもの/©Pmoon

ある女の子は酸素チューブを鼻に付けたままベッドから動けない。いつも苦しそうで硬い表情をしており、会話もしない子だそうだが、犬がベッドの横に来ると、とても嬉しそうににこやかな表情になる。犬を撫でる小さな手からは何を感じていたのだろうか。

薬の副作用で食欲が止まらないという男の子は、いつも頭の中にあるのは食べ物のこと。しかし、犬と一緒に遊べる時には、その空腹感を忘れることができたという。

また、転院をしてきたことと、背中に痛みがあり、安静が必要であった女の子は、ひきこもりがちで診療にも非協力的だったのが、病院に犬が来ると知り、アレルギーがあるにも関わらず参加を希望。そのため、帽子にゴーグル、マスクにガウンというほぼ完全防備の状態で犬とふれあった。この体験をしてからというもの、女の子には笑顔が見られるようになり、診療にも協力的になったそうだ。

アニマルセラピーでは、感情や情緒、意欲、不安、抑鬱など精神面での作用、心拍数や血圧が落ち着くといった生理的な効果、痛みの軽減や健康度の向上など身体面での作用があるが、医療従事者の立場からすると、犬たちが患者と医療スタッフとのコミュニケーションの仲立ちをしてくれるということをもっとも実感すると松藤副院長はおっしゃる。

実のところ、松藤副院長たちが懸念していたのは免疫力の低下した子供たちゆえに何らかの感染症の問題が起こることもあり得るのではないかということだったが、これまで一度もそのようなことはなかったということだ。事故も一度もなく、アレルギー症状が出たケースが1件あったものの、特別心配な状況にはならなかったと。

もう一点、松藤副院長が気になっていたことがあった。それは、医療関係者の手のほうが犬よりもずっと汚れていて菌類にまみれているということ。逆に犬たちに何らかの病気をうつしてしまい、それが他の活動先で広まってしまうことがあるのではないかと心配したそうだが、これまでのところ無用の心配で終わっている。

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