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なんでこんなに人の心がわかるのだろう【柴門ふみの50過ぎて犬を飼う】

柴門ふみの50過ぎて犬を飼う(6)

なんでこんなに人の心がわかるのだろう

2歳を過ぎてもリンコは甘ったれで、一日中私のあとをくっついて離れない。

キッチンに立っても、洗濯物を干しにベランダに出ても、用を足しにトイレに行こうとしても、必ず私の足元にじゃれながらまとわりつくようにくっついてくるのだ。

過去に、同じ経験があることを私は思い出した。

息子がまだ2~3歳のころ、どこに行こうと必ず私のあとにくっついてきていたのだ。トイレの中に消えた母親の姿を探しては、泣き叫んでいた息子。

ある日、30歳になった息子が久しぶりに家に戻ってきたので

「リンコは一日中ママのあとにくっついてはなれないの。あなたの小さかった頃とおんなじ」

そう彼に言ったところ

「あの頃は退屈だったから、お母さんのあとをつけると、なんか楽しいことがあるかと思っていたんだ」

息子が答えたのだった。

ウチの息子は、幼いころの記憶を驚くほど覚えている。それはもう特殊才能と呼べるレベルで、

「なんで夜泣きがひどかったの?」

「寝て体があったまると、アトピーが痒かったから」

そんな1歳になるかならないかの、言葉も持たない時代の感情を覚えているのだ。

(オムツを替えるときに私がいつも口ずさんでいた、自作のデタラメな歌も、息子は覚えていた!)。

しかし、息子のこの発言によって、私は改めて気づかされたのである。

2歳の犬のリンコは人間の言葉を喋れないだけで、人間の3歳児と同じレベルの(あるいはそれ以上の)感情を持っているのだろう、ということを。

以前この連載で、ウソ泣きすると悪戯をやめたリンコのエピソードを書いたが、愛犬の「空気」を読む能力には、はっとさせられることが多々ある。

夕食後私がソファでテレビを見ていると、玩具をくわえてきて「遊んで遊んで」とリンコがうるさく催促する。

そのつどボールを投げてやったり、ロープの引っ張りっこをして遊んでやるのが私の日課なのであるが、たまに疲れがたまっているとソファに座ったとたん眠り込んでしまうことがある。

先日のことである。ソファで寝てしまい、はっ、と気がつくと2時間が経っていた。するとその瞬間、リンコが私の体に飛び乗り、顔をぺろぺろ舐め始めたのである。

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