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幸せだった子育て期間、再び【柴門ふみの50過ぎて犬を飼う】

柴門ふみの50過ぎて犬を飼う(2)

幸せだった子育て期間、再び

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犬は人間の3歳児と同じぐらいの知能があると、人から教えられた。

我が子が3歳だった頃。それは子育て期間中、私が一番幸せだった時間である。「ママ、ママ」と一日中まとわりつき、どこにでもついてきてママを探し、見つからないと大声で泣き叫んだ。

「私は人生で、これほどまで誰かから愛され求められたことはない」

私は感動して、感謝の気持ちいっぱいになり、毎日我が子をぎゅっと抱きしめたものである。

ところが、そんな蜜月はあっという間に過ぎ去った。大体女の子は10歳、男の子は12歳ぐらいで母親から離れて行くものだ。

母親が話しかけてもなま返事で、一緒に出掛けるのも嫌がり始める。親より友達を優先し、やがて口も利かなくなるのだ。

「もう一度、3歳の頃の我が子に出会えたら・・・」

そんな風に思う母親は、少なくない。私の友人の携帯の待ち受け画面は長い間ずっと、3歳だった頃の彼女の息子の写真だった。

子供が幼いころのホームビデオを何回も見返して涙を流すという、母親もいた。

我が子が巣立った後の母親の喪失感は、それほど大きいものなのだ。そして

「私の人生で、幸せの頂点はあの頃だった。この先どんなに長く生きたとしても、あれほどの幸福感に出会えることはないのだわ」

母親の多くは、そんな寂しい気分を味わうのである。

そういった女性が(つまり私もだが)犬を飼うと、気分が一新する。

「人間の子供と一緒!」

仔犬を飼い始めて、私はまずそのことに驚いた。そして二度と味わえないと思っていた、幼い子供が与えてくれた幸せな時間が、再び戻って来たのである。

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