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犬中毒は百利あって一害無し?【柴門ふみの50過ぎて犬を飼う】

私が背骨の上あたりを触ると、皮膚の下に確かにぷっくりとした膨らみがある。そう固くはないが、こりこりとした直径3センチほどのしこりだ。先月シャンプーしたときは明らかになかった・・・。

「もしかして悪いもの?癌だったらどうしよう!?」

娘が取り乱して叫ぶ。

「お母さん、明日リンちゃん病院に連れて行ってね!」

「明日は行きつけの病院が休診日だし、その次の日はお母さん仕事で外出だから、連れて行けるのは来週かなあ」

「そんなこと言ってて、手遅れになったらどうするの!!」

血相を変える娘を、悪い腫瘍だったら痒くてたまらないみたいだから、今のところ痒がっていないし大丈夫よと、私はなだめた。

それでも心配性の娘は

「リンちゃん大丈夫?痛くない?悪い病気だったらどうしよう~」

そんな風に涙ぐみながらずっと犬に話しかけ、すぐに病院に連れて行かない私にプレッシャーをかけ続けるのだった。

そのしこりは、私がぐずぐずしている2~3日のうちになぜかどんどん縮小して行った。

「あれ?できものが小さくなっている。だったらもう病院に行かなくてもいいかな?」

経験値から私がのんきに言うと

「駄目!念のためちゃんと診てもらって」

娘ににらまれた。

そこでようやく連れて行った病院での医師の診断は、

「ほとんど指にも触れないし問題ないですよ」

そういえば犬を飼い始めた初期は、リンコのちょっとした体の異変に私も大騒ぎしたものだ。経験を積んだだけで、基本私も娘とおなじぐらい心配性なのだ。

犬中毒の唯一の害は、過度に心配性になる、という点であろう。

リンコと私

文/柴門ふみ

漫画家、エッセイスト。
1957年徳島市生まれ。
代表作「東京ラブストーリー」「あすなろ白書」「家族の食卓」など。
現在夫、愛犬リンコ(3歳)と共に東京武蔵野市に住む。

配信サイト:「ペットゥモロー」(小学館)
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http://petomorrow.jp/

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