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【ペットのがん治療】実施している最先端がん治療を紹介!

Dr.岡本のペットのがん治療最前線

-最先端がん治療(1)-

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今回から4回にわたりまして、鳥取大学農学部附属動物医療センター(一部は他の民間動物病院でも可)で実施している最先端がん治療を紹介します。《前回の記事を見る》

インドシアニングリーン修飾リポソーム(ICG-Lipo)と光を用いた光免疫誘導療法

インドシアニングリーン(ICG)は、1959年に米国で肝胆道系検査薬として開発された非常に安全な色素剤です。このICGは、800nmの光を吸収して発熱(温熱効果)、600-800nmの光を吸収して活性酸素を誘導(光線力学効果)します。筆者らはこの光特性に注目して、2007年よりがん治療への応用の可能性を模索してきました。ICGと光を用いた治療を光線温熱療法(Photodynamic Hyperthermal Therapy : PHT)と命名し、さらにPHTに局所抗癌剤を併用する方法を光線温熱化学療法(Photodynamic Hyperthermal Chemo-Therapy : PHCT)と命名しました。しかし、この治療法の対象は表在性腫瘍を対象としたものであり、深部の腫瘍には適用ではありませんでした。

腫瘍組織に選択的に薬物を蓄積させる方法の一つにEPR効果(Enhanced Permeability and Retention Effect)があります(図1)。この理論は、次の通りです。腫瘍血管の血管内皮細胞は正常組織の血管内皮細胞に比べて、その整列が不均一であることが知られています。そのため、正常血管内皮細胞間隙からは漏出しない粒子(20-200nm)でも血管外に漏出します。その結果、腫瘍組織内に粒子が蓄積していきます。現在、細胞膜と同じ材料で作られた小さな気泡(小胞)、すなわち“リポソーム”をこのような粒径にして、血管内に投与し病変部に運ぶ研究が進められています。

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図1. EPR効果(Enhanced Permeability and Retention Effect)の模式図

2010年、千葉大の田村先生らは、このリポソームの膜にICGを結合させることに成功しました(以後、ICG-Lipoと呼びます)。図2はその構造を示したものです。本剤が腫瘍に蓄積した段階で、光照射することにより、温熱療法、光線力学療法を実施できます。さらにリポソーム内に、抗がん剤等の種々の物質を内包させることにより、より効果的ながん治療が期待できます。

本治療は最終的にはがん細胞に対する免疫を誘導することがわかりました。そのためこの治療法を「光免疫誘導療法」と命名しました。

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図2.ICG-Lipoの模式図

2012年より、実験動物を用いたデータを基礎に、実際の犬猫の自然発症症例に対して本治療法を実施してきました。その治療法および症例を紹介します。

ICG-Lipoを用いたがん治療のプロトコール

本治療は、1クールを3週間とし、ICG-Lipoを静脈内投与後、市販の近赤外線照射治療器(飛鳥メディカル社製DVL-15または東京医研製スーパーライザー)による照射を、週3回以上行います。治療後3週間経過した段階で、腫瘍が縮小あるいは現状維持であればそのまま継続、腫瘍が増大していれば内包する抗癌剤を再検討します。

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