ヘブライお兄ちゃんはお花になりました【わんちゃんからの贈り物】
紫しえのわんちゃんからの贈り物 vol.2
ヘブライお兄ちゃんはお花になりました
白いお部屋、カーテン、ベッド。ビニールの向こうに、薄っすらと母とお医者様の姿が見えます。リカバリー室で、左側を上にして横向きで寝かされている私。向かい側には、同じく横向きで寝かされている私と同じ年くらいの男の子。
手術は無事に終わったようです。
幼い私は、片肺を失いました。
もう、病気とわかってから自立心が出来た私。ダックスフンドのお兄ちゃん達と離れた病院生活ですが、涙一つ流さず毅然と振る舞っていました。そんな一人ぼっちの私の目の前に横向きの男の子が。
私達はすぐに、お友達になりました。お友達と言っても、リカバリー室の二人は、目が覚めたら相手の目を見つめるだけ。私は心の中で、元気になったら男の子に私のダックスフンドのお兄ちゃん達を紹介してあげようと思いました。
数日後、私は目が覚め、いつものように向かい側の男の子に挨拶しようとベッドを見つめました。白いベッドはグレーのマットレスになっていました。
それから、しばらくの間、白いお部屋(病院)にいた私は、やっと退院する事が出来、自宅に暫くぶりに帰りました。
家に着くや否や、お兄ちゃん達に挨拶をしようとダックスフンドのお兄ちゃん達の所へ。すると、二番目のブラニアンお兄ちゃんと三番目のカサノバお兄ちゃんしかいません。
私は母に一番上の「ヘブライお兄ちゃんはどこ?」と聞きました。母は私を抱っこし、お庭に出ました。後を追いかけるようにブラニアンお兄ちゃんとカサノバお兄ちゃんもお庭に・・・。
大きなお庭の片隅に、前のお家にあった母の大好きな躑躅(つつじ)のお花が綺麗に咲いていました。
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