TOP>連載 > 【ペットのがん治療】麻酔をかけないで実施できる検査とは?
  • 連載

【ペットのがん治療】麻酔をかけないで実施できる検査とは?

Dr.岡本のペットのがん治療最前線

-がんの診断(2)-

f5ba18fbd15b96d09c5a9dd33883e39a_s

今回も引き続きがんの診断について解説します。《前回の記事を見る》

体表以外のがんの場合は、画像診断が重要となってきます。部位によって使用する画像診断検査は異なってきます。体表以外のがんの画像診断を表1にまとめました。脳腫瘍の場合は、最も確実な診断はMRI検査です。

CT検査によって診断できる脳腫瘍もありますが、MRI検査に比べて診断精度は劣ります。消化管のがんでは、内視鏡検査が一般に行われます。しかし、内視鏡ではわからない場合もあり、CT検査が必要となることがあります。

肝臓、脾臓、膀胱、卵巣、子宮の場合、第一に超音波検査が行われます。より正確に検査するためには、CT検査が必要となります。肺がんの場合、X線検査がまずおこなわます。より正確に検査するためには、CT検査が必要となります。

0001-1
表1.部位による画像診断検査(○:最も正確に診断可能、△:診断不可能な場合もある、×:診断不可能)

現在の獣医領域における画像診断検査は、ほぼヒト医学と同等の診断機器が使用されています。それぞれの画像診断検査について解説してきます。

獣医領域で画像診断検査を行う場合、手技の選択は大きく2つに分類することができます。すなわち、麻酔をかけないで実施できる検査と麻酔(または鎮静)をかけないとできない検査にわけることができます。

通常、簡単な検査から実施するのが常ですから、まずは麻酔をかけない検査から実施していきます。それらの検査でわからない場合、麻酔(または鎮静)をかけて実施する検査を実施することになります。

1.麻酔をかけないで実施できる検査

1)X線検査
最もよく行われる画像診断の一つです。表1にも示しましたが、X線検査は骨、肺の腫瘍に対しては有効です。いっぽう、筋肉、腹腔内臓器、脳・脊髄の腫瘍に対しては有効ではありません。

ただ、造影剤を用いる(造影X線検査と言います)ことにより、消化管や膀胱のがんを描出することができます。表2にX線検査の長所・短所をまとめました。図1、2に典型的なX線検査で発見できたがんのX線像を示します。

スクリーンショット 2015-12-09 16.17.26
表2 X線検査の特徴

スクリーンショット 2015-12-09 16.19.24
図1.骨肉腫のX線像(矢印)

スクリーンショット 2015-12-09 16.19.46
図2.乳がんの肺転移像(矢印)

2)超音波検査
超音波検査は筋肉、甲状腺などの軟部組織や腹腔内臓器のがんの検出に有効です。最近は、がんの硬さを測定することにより、良性・悪性の鑑別がある程度可能となってきました。またリンパ腫によるリンパ節腫大の検出にも有効です。図3に超音波で発見された膀胱がんを示しました。

スクリーンショット 2015-12-09 16.19.57
図3.膀胱がん(破線で囲まれた部位)

2.麻酔または鎮静をかけないと実施できない検査

1)CT検査
CTとはComputed Tomography:コンピュータ断層撮影法の略であり、CT検査はX線を使って身体の断面を撮影する検査です。体内の様々な病巣を発見することができますが、特に胸部、肝臓、腎臓などの腹部の病変に関しては、優れた描出能が知られています。

図4a,bに肝臓がんのX線像(a)とCT像(b)を示しました。X線像では、腹部に腫瘤(破線で囲んだ箇所)は確認することができますが、どの臓器から発生したのかははっきりわかりません。CT像で肝臓由来であることが確認できます。

スクリーンショット 2015-12-09 16.20.13
図4a. 腹部のX線像

スクリーンショット 2015-12-09 16.20.30
図4b.同症例のCT像

2)MRI検査
MRIとはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略語で,磁気と電波を利用して,あらゆる断面の画像を得ることができる撮影方法です.撮影時に動物が動くと鮮明な像が得られないため、動物を麻酔して動かないようにする必要があります。

したがって、MRI検査を実施する時は、麻酔をかけても大丈夫かを確認するために血液検査、心臓の検査等が必要となります。X線を使いませんので,いわゆる放射線被ばくはありません。図5に脳腫瘍のMRI画像を示しました。

スクリーンショット 2015-12-09 16.20.38
図5.脳腫瘍(破線で囲まれた部位)のMRI像

2)内視鏡検査
内視鏡検査は食道、胃、十二指腸、大腸の検査に用いられます。ヒトでは肺がんの検査にも使用されますが、動物ではあまり実施されません。

005-1

文/岡本芳晴(おかもとよしはる)

昭和34年兵庫県生まれ。昭和58年北海道大学獣医学部獣医学科卒業。昭和62年北海道大学大学院獣医学研究科予防治療学専攻博士後期課程中途退学(博士号学位取得)。昭和62年より鳥取大学助手農学部。平成15年教授に就任。

◆専門:獣医外科学(小動物外科専門医)
◆主な研究テーマ:がんに対する先端的治療(がん免疫療法、光線温熱化学療法等)の開発、内視鏡下手術の獣医臨床応用、等
◆所属学会:日本獣医学会(評議員)他
◆趣味:詩吟、家庭菜園、海草採取、バイク、ワイン、読書

\ この記事をみんなにシェアしよう! /
この記事をみんなにシェアしよう!
関連記事
関連記事
  • 連載

初めての雪。【まう助日記】 (1.23)

  • 連載

『ステップワゴンHV』で行く伊豆高原「ウブドの森」前編【わんこと行くクルマ旅】 (1.23)

  • 連載

新春、戌年。ジャケ買いしました【犬猫家族】 (1.23)

  • 連載

マリアお薦めのランチスポット伊豆高原編 蕎麦処『蕎仙』 (1.22)

  • 連載

ケーキ。【まう助日記】 (1.21)

  • 連載

【今月のドッグフレンドリー・カー】ホンダ・オデッセイ アブソルートHV (1.20)

  • 連載

ペットの介護生活の裏に潜むストレスや鬱、生活の質の低下 (1.19)

  • 連載

【わんこと行くクルマ旅 特別編】寒い時期にぴったり!プライベートドッグラン付きの宿 (1.19)

もっと見る

注目のグッズ

あったか〜い。冬もヌクヌク♪わんこが喜ぶ「英国製ブランケット」

ダンボールのプロが開発!おしゃれで使い勝手のいい猫用爪とぎ

寒い時期に大活躍のアウター!わんこ用「ドラえもん スタジャン」

浮世絵師「歌川国芳」の猫をあしらったかわいい升酒グラス

寒い季節にピッタリ♪ わんこ用『ドラえもん ちゃんちゃんこ』

押忍!ドラえもんの「わんこ用柔道着」が登場(笑)

人気ブランド「PORTER」とコラボしたここでしか買えない限定お散歩トート

にゃにゃっ?予測不能な動き「カオス理論」を応用したハイテク猫じゃらし

人気記事
人気記事
\ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! /
PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック!


ページトップへ戻る